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もはやブログじゃない

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semスキン用のアイコン01 ブログ 230 ~岩を英語にするとロック、ンローーールwwww~ semスキン用のアイコン02

  

2013年 04月 20日




おはようございます。
最近は忙しくてなかなかブログ更新ができないんですけど、最近は忙しくてなかなかブログ更新ができてます。

母親はなんか旅行に行ってます。ふざけてますね。死んでほしいです。この僕をおいて、しかも貧乏なのに旅行なんて行ってる場合なのか?と。しかし、母もあと数年で60。いつ死んでもおかしくない。だから許しましょう。

そういや今年の目標として、新しく「基本情報技術者という国家資格の取得」が増えました。
これはですね、言うなればIT企業へのパスポートですね。これを持ってるだけで京大の人を押しのけて就職できるらしいです。僕の大学はやたら就職の良さを謳ってて学科内の就職率が97%という感じなんで僕もそのプレッシャーに背中を押され資格の取得を視野に入れました。

ぶっちゃけ一年次でこの資格を取るのは難しいと言われています。しかしそんなの関係ない。難しいほうが燃えるでしょう。全力で挑戦したいと思います。負けたら笑ってください。


さて、今から少し良い話をします。

今日ね、また電車の話になって悪いんですけど帰りの電車内で女子高校生3人の会話がふと耳に入ってきたんですよ。

「ねぇチカコ。将来の夢何?」
「えー?wwwなんでイキナリwww」
「いいじゃんwwwわたしも知りたいwww」
「まじで?wwwうーん...まぁとりあえず大学に進学だよねぇ」
「それから?それから?wwww」
「ちょwwwみんなどうしたのよwww」
「いいからいいからwwwチカコの将来の夢とかちょー気になるww」
「んーと、そうだね、でも別に特にやりたいこととかないよー!ww普通に就職して普通に結婚して普通に死にたいww」
「なにそれwwwすごい平凡だねwww」
「じゃあトモコはなんなのよwww」
「え?わたしー?wwwわたしもそんなもんだよwww」


女子高校生3人は扉付近でカバンを足元に置きながらそんな会話をしていました。
しかし僕はとんでもないものを見つけてしまいました。チカコと呼ばれていた子の、夢なんて特にないと言っていた子の足元にあるカバンの中に、開いてるその入口からある一冊の本が偶然目に入りました。

『刑事訴訟法講義 安冨 潔 著』

よく見ると彼女は気の強そうな顔をしていた。そのつぶらな瞳の奥に輝きをしまいこんでいる。そうか、彼女は弁護士になりたいのか。僕はさっきの会話を思い出した。

「んーと、そうだね、でも別に特にやりたいこととかないよー!ww」

少し喉をつまらせて、表情を僅かに曇らせて、彼女は笑いながらそう言った。それは一体どれほどの屈辱なんだろうか。彼女は自分の夢を押し殺し、笑いながら友人に自分の夢を合した。言ったところで笑われるに決まってる。真剣に勉強してることもきっと信じてくれない。だから彼女は自分のプライドをへし折った。

彼女は僕と同じ駅で降りた。チカコという子は友達の2人と別れてひとり、ホームに立っていた。どうやら快速に乗り換えるつもりらしい。僕の横でうつむきながら電車を待っていた。

僕は声をかけた。

「弁護士に、なりたいんでしょ?」
「えっ?」

彼女は驚いてこちらを振り向いた。よく見ると整った顔立ちをしている。美人とまではいかないけれど男の目を十分に惹きつける顔ではあると思った。

「ごめん、さっきの会話聞いちゃったんだけど、それ」

僕は彼女が手に持つカバンの中から見える本を指さして言った。

「え?」彼女はもう一度同じように驚き、そして数秒後納得したように頷いた。「あぁ」

「聞かれちゃってましたか...そうなんです。わたし子供の頃から弁護士を目指してて...きっかけはテレビでした。テレビの中で人気のバラエティ番組でヘラヘラ笑いながら芸人さん達とトークしてる弁護士を見たのが最初でした」

彼女は意外にも饒舌なのか、自ら語り出した。それは閉じ込めていた蓋をあけるように、聞いてもらう相手を探していたようにゆっくりと彼女の口から流れ出た。

「最初は人を守る仕事である弁護士が、こんなヘラヘラ笑ってだらしない...とかとにかくテレビの前でイライラしてました...w」

彼女は恥ずかしそうに頬を赤らめた。「昔から正義感だけは人一倍強くて...w」

「それで弁護士に対する偏見ていうのは最悪でした。正義を貫かなければならない人間がこんなんでどうするのだ、とずっと思ってました。でも、ある日わたしはそのテレビに出ていた弁護士を偶然街で見かけたんです。別に彼はそんな有名な人じゃないんですけど、少しはメディアにも露出しててーってぐらいの人でした。」

僕と彼女の前を特急列車が通り過ぎる。ふわりと生暖かい風が僕と彼女の頬を撫でる。あっという間に特急は僕らの前から消えた。

彼女はそれをうつろな目で見つめてから、また話し始めた。

「なんか人だかりができてたんです。その弁護士ともう一人柄の悪そうな男の人2人を取り囲むようにして。どうやら何か揉め事をしてるみたいなんですけど、少し面白そうだなって思って、本当は不謹慎なんですけど野次馬に交じってその会話に耳をすましました。」

彼女も心のどこかで「見ず知らずの他人に何を話しているんだろう」と思ってるかもしれない。しかし彼女は喋るのをやめなかった。

「どうやら男の人がその弁護士の足に躓いたとかなんかで足の骨が折れた!弁償しろ!てなんかイチャモンつけてるみたいでした。このご時世にそんなアナログな当たり屋なんて...wて今にしたらそう思うんですけど、そのときのわたしはその喧嘩に集中してました。何故ならその柄の悪そうな人が尋常じゃないくらいの怒声をその弁護士に浴びせてるんですよ。もうヤクザみたいで、わたしは怖くてその場から離れることもできませんでした」

電車がホームにやってくる音がなる。軽快にポポポポーン、と。遠くに電車の顔がチラリと見えた。

「途中から見ていた私でも、どう考えてもただのイチャモンだってそう思うぐらいに胡散臭くて、私はただひたすら謝ってる弁護士が気の毒に思えてきました。弁護士は何も悪くないのに、世の中には変な人がいるんだって思いました。まるで言葉で殺すようにヤクザが罵声を浴びせてるんですよ。弁償しろ!とか警察呼ぶぞ!とか...私は一体どうなるんだろうって思いました。しかしその弁護士はただひたすら謝ってるだけでした。すいませんすいませんって、自分は間違ってないのにすごく格好悪いって思いました。男なら威厳を見せたらどうなんだって、やっぱ弁護士なんて自分が傷付くのは怖いんだって私は怖さと同時に弁護士に失望しました」

電車が駅に入ってくる。スルルルと軽くブレーキをかけながら再び生温かい風が微かに頬をかすめた。

「そしたら埒があかないと思ったのかそのヤクザの人がいきなり拳を出したんですよ。謝ってばっかで何とか言えよ!ふざけんなよ!とか、多分そんな感じのことを言いながらその弁護士の人に殴りかかったんですよ。そしたら、ですよ。私は目を丸くして驚きました。その弁護士の人が素早い身のこなしでそのヤクザの人の拳をよけたんです。ヤクザの人は一瞬驚いた表情を作りました。何メートルも飛ばすつもりで殴ったんでしょう。しかしその弁護士の人は涼しい表情で素早くそのヤクザの人の手をとると背中に回って動きを封じたんです。まるで漫画のワンシーンを見てるようでした。周りの人も驚きながらそれを見ていました。」

電車の扉が丁度彼女と僕の前にきたところでとまった。毎回ながらこの僅かな誤差で駅にとまる技術はすごいと思ってしまう。扉が開いて僕と彼女は車内へと足を踏み入れ、満席であることを確認してから扉の付近で立つことに決めた。

「そしたらその弁護士がただ一言だけ、こう言ったんです。"あなたの今の攻撃は法律上の急迫不正の侵害にあたります。刑法36条1項により私はあなたへのやむを得ない防衛が許される。私は警察を呼んでもらっても結構ですがそれはあなたにとっては不利だと思いますよ。あなたが私の足にひっかかってこけたといういちゃもんはこの多くの証人達によって暴かれることになります。どうします?警察を呼びますか?それとも法廷で決着をつけますか?私はあまり望まないんですけどね、あそこはホームのような気がしてフェアじゃないですし"」

「それは」僕はスラスラとその弁護士が実際に言ったであろうセリフを一回も噛まずに言い切った彼女を見てつぶやいた。「それはすごい」

そのときに覚えてそれから何度もそのセリフを反芻してるんだろう。その弁護士を真似る彼女からはその弁護士への尊敬の眼差しが垣間見れた。

「ヤクザの人がポカーンとしている表情をしたのを確認すると、その弁護士は彼のうでを放しました。"無言だということは了承してもらったと解釈してもよろしいですか?すいませんね、できれば穏便にすましたかったんですがあなたが攻撃してくるものですから少し関節を外してしまいました。病院に行かれたほうがいいと思います。あ、もし通院される病院で何か金銭的なトラブルなどがあった場合はこちらまで連絡ください。実は弁護士でして" そう言ってからニコリと笑ってそのまま名刺をまだ呆然としてるヤクザの人の手に無理やり握らすと目もくれず一目散にその場から立ち去りました」

彼女はその場面をその場で見ているかのように話す。よっぽど鮮明に覚えているのだろうか、悦楽に浸っている様子だった。

「わたしは何も考えずにその弁護士の後を追って尋ねたんです。なんでですか!って、何度も何度もなんでですか!て問いかけたんです。本当に必死でした。わたしも自分が何をしているのか途中でわからなくなったけど、それでもわたしは尋ねずにはいられませんでした。なんでそんなに強いのに謝るんですか!と。そしたらその弁護士はそんな変なわたしの言葉にも微笑みながら答えたんです。"自ら拳を振るう者は弱いものですよ。拳というのは何かを守るために使うものです。私は今、自分の正義を守るために拳を使いました。もっとも拳は使ってないんですけどね。弁護士というのは言葉で戦う職業です。時には法廷でプライドをへし折って頭を下げなければならない場面も出てくる。大事なのは自分の正義とはなんなのか、それをしっかりと持つことですよ" 弁護士はそうとだけいうとわたしを取り残して足早にどこかに消えていきました」

電車がスピードを落とし、それにつられ僕と彼女は少しふらつく。どうやら駅につくらしい。

「わたし「なんだ、弁護士ってすごく格好いいじゃん」って単純だからそう思っちゃって、そっから偏差値の低い高校に通ってたんですけど弁護士目指すことにして」

彼女は歯切れ悪くそう言う。この駅で降りるのか足元に置いたカバンを再び手にした。

「でもダメですね。将来の夢を訊かれたときに堂々と言えない。まだまだです」

彼女はそう笑うと「ごめんなさい。見ず知らずのあなたにこんなこと言ってしまって」と頭を下げた。

「いや、こちらこそごめん。勝手に話聞いちゃって」

電車がまた綺麗にスルルルルと駅にとまる。「わたし、ここで降ります」と彼女が言う。

「そっか。俺は二つ先だから、さようなら。そしてありがとう。色々と勉強になった。君はきっと弁護士になれるよ」

僕の言葉に彼女が僅かに今度は純粋に頬を赤らめた。照れ屋なのか「そんなことないですよ」と遠慮がちに言うと別れの挨拶を口にしてそのまま電車から降りて行った。


僕はその彼女の後ろ姿を見ながら思った。きっと彼女は弁護士になれる。それは何年後か、何十年後か、気の遠くなるほどの勉強量を乗り越えて、それでも彼女の過去が背中を押して、彼女はいつの日か友達にだって堂々と自分の夢を言えるときがやってくる。

僕はそう願いながら読みかけの本の続きを読んだ。

『検察官になるには 三木 賢治 著』







~完~







いやぁ、良い話でしょ?

まーただ、少しこの話に欠点があるとすれば





この話、10割が嘘だってことぐらいですかねーー。


じゃあまた今度!

by Kichigaiiiii | 2013-04-20 21:00 | .